雨に濡れた歩道に
今年も小さな白い花束が一つ
小さくなった吸殻は
あなたが好きだった銘柄
まるでついさっきまで
あなたがここにいたようで
ある筈のない温もりを独り探す
透明の傘越しに潤む空が
今日は少しだけ優しく見える
古いアルバムをめくるように
色褪せた五線紙を指でなぞるように
あなたの想い出をそっと抱きしめる
そこから私が見えていますか?
ちゃんと笑えているでしょう?
いつの間にか降り止んだ雨が
流れる雲を歩道に映すこんなふうに
時はまた歩き出すんだね
そろそろ帰るね
また会いに来るね
今日は、大切な親友の命日。
突然の事故でこの世を去って10年。なかなか彼の死を受け入れられないまま
時間だけを重ねてきたけれど
今夜は大好きなあの歌を聴きながら
優しい想い出に心委ねられそうです。