2015/08/31

Standing Ovation ~DOOR~

力強く開け放った扉から
眩い光と うねりにも似た感情が
いっせいに溢れ出す

最後の音を待たずに
湧き上がる歓声と拍手 そして涙

とどまることを知らない九千の歓喜の波が
何度も何度も繰り返し打ち寄せ
深く頭を垂れた二人に惜しみなく降り注ぐ

2015年8月27日 
「奇跡」は紛れも無く その瞬間に生まれた



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コブクロの2015ライブツアー「奇跡」が
8月27日
名古屋のガイシホールでファイナルを迎えました。
笑いと涙と、何よりも深い感動・・・・
いや、実際には感動などという安っぽい言葉は
使いたくないのですが・・・

彼らが「今しか歌えない歌」「今聴いてほしい歌」を
惜しみなく集め、全てのピースが美しく噛み合った
最高のライブでした。

あんな奇跡のようなスタンディングオベーションに
立ち会えたこと、本当に幸せに思います。
コブクロ最幸!!!

2015/08/15

8月15日~70年目の語り部



1945719日 2324
福井市上空に127機のB29戦闘機が来襲。

856トンもの焼夷弾が投下された。
81
分間にも及ぶ攻撃で、

市街地のおよそ8割は壊滅。

死者の数は1500名を超えた。

そのとき母は7歳。
4歳の弟の小さな手をとり、

逃げ惑う人の波に押され、もまれながら

ただひたすら火の海の中を走った。

どこをどれくらい走ったのか・・・・
気付くと両親や乳飲み子の妹ともはぐれ

真っ暗な田んぼの真ん中で震えながら

弟と二人うずくまっていた。
むせ返る暑さに恐る恐る外した防空頭巾が
所どころ焼け焦げ
降り注いだ炎の激しさを物語る。
ふと 見上げた空が
一面オレンジ色に染まり、

たくさんの火の粉が舞い上がるその光景が、

なぜかとても綺麗で、

ただ黙って いつまでも見ていたという。

「焼け出され」と
蔑まれながら暮らした疎開先で

母は日本の敗北を知る。

1945
815日のことである。

戦火をくぐり抜け
戦後の貧困と激動を生き抜いた
その後の母の人生がどんなものであったか、
今の母の顔、母の手を見れば

その道程が決して容易でなかったことは

私にも想像がつく。


そんな苦労を笑って話す彼女は
話の最後にいつも必ずこう付け加えるのだ。

「だけど戦争はいかんよ。あれは地獄や」
「人間が人間やなくなる。本当の地獄や」

そして・・・
2015
815日の今日

里帰りの子や孫のため
楽しげに料理の腕を振るう母の背中は
いつの間にかこんなに小さく見える。
戦後70年
歴史の語り部はこうして確実に老いてゆくのだ。


正午
少し開いた窓から青空が高く伸び
鳴り響くサイレンに
そこにいる誰もが ふと手を止めた。





2015/08/12

風の結び目 ~520の命に捧ぐ~


小さな瞳を輝かせ
広がる雲のじゅうたんの上
心躍らせ はしゃいだ命

愛する人の写真を何度も眺めながら
はにかみ 微笑んだ命

もうすぐ帰ると約束した
妻と子と老いた父母
守り 見つめた命

あの日 何の前触れさえも無く
空に消えた520の尊き命たち

去りゆく哀しみと 残される苦しみと
背負った後悔と いまだ癒えぬ心の傷と

御巣鷹の風よ どうか結んでほしい
たとえ今この瞬間だけでも
離れ離れになった心を身体を
愛しい人の温もりを
もう一度この手に感じさせてほしい

あの日と同じように山肌を夕陽が照らし
やがて夕闇と一つに溶け合う頃
鎮魂の鐘の音が 静かに響き渡る













*・゜゜・*:.。..。.:*・*:゜・*:.。. .。.:*・゜゜・ 

日航機墜落から三十年。
どうしても今日中に何か残しておきたかった。

犠牲となった520名の御冥福を
心からお祈りするとともに
ご遺族の方の心に少しでも
安らぎの明かりが灯りますように・・・・・




2015/08/06

オレンジの瞬間(とき)


夕暮れのバスターミナル
ガードレールに並んで腰かけて
スマホを見るフリ うつむいた二人 
ずっと言葉を探してた

離れている時は
あなたに伝えたい事
あんなにたくさんあったのに
臆病だね 本当の気持ち
何一つ言葉にできない

「ねぇ 今度は いつ会える?」
そんなこと聞いたら
きっとまた あなたを困らせるね

あなたの横顔越し
オレンジに染まる街が
哀しいくらいにキレイね
今 この瞬間(とき)が
二人の永遠になればいいのに

不意にあなたの口唇が
何か言おうとした瞬間
発車を知らせるベルが重なって
苦笑い 大きなあなたの手が
私の頭をそっと撫でた

 「それじゃぁね」って手を振って
あなたを乗せたバスの
テールランプが小さく滲んでく

泣かない約束を
こんなに早く破った私の手の中で
小さく震えたLINEの音
届いたあなたからのメッセージ

「もう 君に会いたいよ」













*゜*・。.。・*゜*・。.。・*゜*・。.。・*゜*・。.。

ひとつ前に書いた「オレンジの羽根」の
アンサーソング的な?感じで書いてみました。

少し前は詩の中に「スマホ」とか「LINE」なんて
ワードは出てこなかったよね。
響きとか字面とか、ちょっと慣れない感も否めませんが
実際、生活の中にごく普通に溶け込んでるツールだから
敢えて使わないのもかえって不自然な気もしています。

逆に「電話のダイヤル」とか「レコード」とか
時代と共に使わなくなる言葉も増えていくのかな~。

2015/08/02

オレンジの羽根

毎朝  君の街の天気予報を
気にしてる僕が
今日はうっかり傘を忘れて
突然襲った夕立に
おろしたての靴もびしょ濡れ
それでも君が濡れなかったのなら
良かったよなんて
LINEを送って気付いた
自分でも可笑しいくらいに
僕の世界が
君を真ん中に回り始めてる

泣き虫なくせに強がりな君は
どんな時も
「さみしい」なんて口にはしなくて
そんな君が昨夜  電話の向こう
「遠いね」って一言
泣いてるように思えたのは
僕の気のせいじゃないよね?

雨上がり  夕暮れの空に
オレンジの雲が小さな羽根をつくる
君も今頃  何処かで
この空 を見上げているのかな

閉じた傘の花
足早に過ぎる人の波が
ふと立ち止まり「遠いよね」と呟やき返した
弱気な僕の声を連れ去っていく

春も夏も秋も冬も
雨の日も 星の夜も
本当はいつも君のそばにいて
分け合いたい気持ちがたくさんあるんだ

週末  君の街は雨予報
今度は傘を忘れないようにしなくちゃね
決めたんだ  朝イチのバス
君に逢いに行くよ