2016/09/16

コントレール



限りある命だから
輝いていたい
格好悪くてもいいから
自分らしく生きたい


孤独な道程だから
あなたといたい
歯を食いしばりながら
それでも笑っていたい


幾重にも重なり合う
奇跡という名の時間の中で
大きな大きな
見えない力に導かれて
僕等 こうして出逢った


震えるか細い掌に
僕の手を重ねて
扉を開けよう 恐れずに今


見上げる秋空に
真っ直ぐ伸びるコントレール
たとえいつかは消えゆくとしても


僕等 ここに生きた証だけは
永遠に消せない














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恥ずかしいくらいに
ベタな言葉達だけど・・・

今まっすぐに生まれ出た
本当の、本当の気持ちだから

忘れないように書き留めておきます。



2016/06/16

6月の空に

あの日と同じ
雨に濡れた歩道に
今年も小さな白い花束が一つ
小さくなった吸殻は
あなたが好きだった銘柄
まるでついさっきまで
あなたがここにいたようで
ある筈のない温もりを独り探す

透明の傘越しに潤む空が
今日は少しだけ優しく見える

古いアルバムをめくるように
色褪せた五線紙を指でなぞるように
あなたの想い出をそっと抱きしめる

そこから私が見えていますか?
ちゃんと笑えているでしょう?

いつの間にか降り止んだ雨が
流れる雲を歩道に映す

こんなふうに
時はまた歩き出すんだね

そろそろ帰るね
また会いに来るね










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今日は、大切な親友の命日。
突然の事故でこの世を去って10年。
なかなか彼の死を受け入れられないまま
時間だけを重ねてきたけれど
今夜は大好きなあの歌を聴きながら
優しい想い出に心委ねられそうです





2016/05/30

眠れぬ夜は俯(うつぶ)せて


こんな凍える星の夜は
遠く遠く キミを恋う

こんな寂しい風の夜は
深く深く 君を問う

こんな澄んだ月の夜は
密かに密かに キミを呼ぶ

こんな優しい雨の夜は
静かに静かに キミを詠む


眠れぬ夜は俯せて
零れ出づ胸の想いに封をする


キミが教えてくれたこと

キミが教えてくれたこと

信じるということ
寄り添うということ
感謝するということ
諦めないということ
歩き続けるということ



独りぼっちじゃ
無いということ

心から誰かを
愛するということ


2016/05/23

Love Letter

出逢った頃の僕らは
まるで初めての恋のよう
呼び合う名前さえも不器用でもどかしくて

照れながら写した一緒の写真も
何だか少しぎこちないね

肩が触れないように少し離れて座った電車
不意に訪れた沈黙を持て余しながら
窓の外 流れる景色見てた

あれから二度目の季節が巡って
すれ違う心に戸惑いもしたけれど

はじめて二人で観たあの日の映画
小さな半券でさえ今は大切な宝物
いつも財布の隅で微笑んでる

二人で集めた何気ない時間たちが
ほら こんなに愛おしい

ずっと そばにいたいんだ
ほんの些細な出来事にだって
二人そっと笑顔重ねて

これからも ずっと・・・

2016/04/18

MARIA

大切な人とのサヨナラは
いつも突然訪れる

最後に見た笑顔も
声も
後姿も
どうしてだろう
今は何も思い出せない

悲しいのに
涙が出ない

「どうして?」
答えの無い問いかけが
胸の中でグルグルと交差する

見上げた空の隙間から
予報には無かった小さな雫が
ふいに頬を伝う

泣いているのはあなた?
それとも私?












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大切な仲間が突然に旅立ちました。
先週の初めに入院したことは聞いていましたが
たいしたことは無いよという言葉を信じて
お見舞いにも行かないまま・・・

知らせを受けて
今はどう気持ちに折り合いを
付けていいものか・・・
詩など書いている場合ではないのだけれど
少しパニックです。

2016/03/11

3.11 ~想い~


3月11日
 
目覚ましの音に思わず顔を顰める
大きく伸びをする
窓を開ける
空を見上げる

 
「おはよう」と声をかける
「おはよう」と笑顔が返る

 
今日もまた
いつも通りの朝がやってくる


 
3月11日という今日が
「震災の日」と呼ばれるようになって5年


祈ることだけでは
決して救われない想いがあることを
わたしは知っている

 
けれど祈ることでしか
伝えられない想いがあることも
わたしは知っている

 

2011年3月11日
あの日 いつも通りの今日を過ごし
いつも通りの明日を

迎えるはずだったあなたは
もういない 


それでも わたしは生きている
あなたが生きたかった
ありふれた今日を
わたしは生きている

 
迷いながら 祈りながら

2016/01/27

恋櫻 ~旅人とワタシ~


ワタシは一本の木
町の外れの小さな丘に立つ
名も無き一本の木


春には薄紅の花を飾り
夏には緑の葉を揺らし
秋には色無き風に唄い
冬にはしずる雪に枝を濡らす


ある夏の日
傷ついた旅人が独りやって来て
ワタシの足元にうずくまった
蒼白い頬は痩せこけ
虚ろな目は全ての光を失っていた


ワタシは精一杯に枝葉を広げ
照りつける日差しを遮り
吹き荒ぶ北風に立ちはだかり
凍える夜も眠らずに旅人を包んだ


やがて暖かな風が南から吹いて
待ちわびた季節が来たことを教えてくれた
ワタシは旅人にとびきりの姿を見せたくて
頑なな蕾を懸命に綻ばせた


旅人は
誇らしげに薄紅色の衣をまとった
ワタシを見上げると
この上のない微笑みを浮かべた
その頬は艶やかに紅を差し
その瞳は澄み渡る春空を映した


ワタシはこれまで感じたことのない
そわそわと心落ち着かぬ想いに戸惑いながら
旅人の笑顔に寄り添える喜びを噛みしめた


どこからか飛んできた小鳥が
ワタシの肩に止まり
したり顔で囁いた
「それは恋というものだよ」と




その日は何の前触れもなく訪れた

花冷えの朝
旅人は手早く身支度を終え
少し名残惜しそうにワタシにそっと触れると
まだ朝靄の残る東の斜面に向かって
ゆっくりと歩き始めた


そう
旅人は旅人
一つ処に根を張らず
自由きままに今日を生きる


ワタシは成す術もなく
ただ黙って旅人を見送った

丘の中腹でふと立ち止まり
一度だけ振り向いた旅人の姿は
いつの間に散り始めた花びらに霞んで
はっきりと見ることはできなかった



ワタシは一本の木
今日も町の外れの小さな丘に立つ
名も無き一本の木















*゜*・。.。・*゜*・。.。・*゜*・。.。・*゜*・。.。

久しぶりに長い詩が出来ました
詩と言うより物語かな?
絵本になったら素敵だなぁなんて
思いながら書いてみました

残念ながら画力が無いので無理ですが・・・(笑)

春夏秋冬、東西南北・・・
色や温度、気持ちの移ろいなども
感じてもらえると嬉しいです

2016/01/12

夕焼け色のインクで



キミがくれた夕焼け色のインクで
キミの名前を3回書いた
涙で滲んだ文字が星になった

キミがくれた夕焼け色のインクで
キミに宛てた手紙を書いた
言葉にできない想いが風になった

キミがくれた夕焼け色のインクで
キミとの未来を書こうとしたけれど
臆病な心がペン先にそっと蓋をした


哀しいわけじゃない
幸せだから苦しくて


迷いあぐねて書いた本当の気持ちが
窓から差し込むオレンジの光に
躊躇いながら静かに溶けた