2015/06/05

空になったHero ~ Popeye へ ~

今年もまた
この季節が巡ってくる

微かな雨の匂いで目覚めると
胸の奥に閉じ込めた痛みが
思いがけず頭をもたげてくる

キミの笑顔を思い出しても
泣かない日が少しずつ増えて
キミの声を思い出しては
優しく笑えるようにもなった

けれどゴメンね
今年もその場所には行けそうにないよ
小さな石に刻まれたキミの名前を見たら
弱虫な私は
きっとまた光を見失ってしまうから

もっと甘えておけば良かった
もっと喧嘩もすれば良かった
小さな後悔が再び弱い心を支配しそうで
慌てて身体を起し かぶりを振った


言わずと知れた
あのHeroと同じ名前のキミは
今でも私のHeroで
苦手なトマトが食べられるようになったのも
暗闇が怖くなくなったのも
全部キミのお蔭だと言ったら
キミは驚いて笑うのかな

いつの間にか あがった雨が
窓ガラスに一筋の光の帯を描いて
今日もまた新しい一日が始まる

ガラス越し 雲の切れ間から覗く青空に
一度だけそっと
私のHeroの名を呼んだ


Photo by 小渕健太郎氏













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2006年の6月16日
不慮の事故でこの世を去った私のヒーローは
こんな弱虫な私を
「しょうがない奴だなぁ」と優しく笑って
今日も空の上から
見守ってくれているのでしょうか・・・

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