2015/02/27

透徹の空に


あの頃と変わらないこの桜並木に
今年もまた花の季節が巡ってくる
一緒に見るはずのあなたを
こんな風に見送るなんて
思いもしなかったけれど

あなたの手の皺も 
少し小さくなった背中も全部
いつかこの日が来ることを
教えてくれていたのに
気付かない振りをして
当たり前の存在に甘えてばかりいた

言いそびれたごめんねも ありがとうも
まだこの胸の中で
行き場所を探しているんだ

この街を離れてから
いくつもの季節が過ぎたけれど
あなたが誇れるような存在に
僕は なれていたのかな

奇跡を信じて
今日からまた歌い始める僕が
迷わないように 逸れないように
あなたが愛したその人と
これからもずっと
遠い場所から見守っていてほしい

押しつぶされそうな寂しさに
ひとり見上げた空は
悲しいほど青く澄んで
もう少しだけ 泣いてもいいかな

真っ直ぐ伸びたあの飛行機雲が
ゆっくり空に溶けるまで
小渕君、ちゃんと泣けてるかな。
ちゃんと寝てちゃんと食べてるかな。
笑顔になるのは、もっとゆっくりでいいからね。

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